正しく謝れていますか?(Desculpeのトリセツ)

授業の補足

この記事は以下のような症状をお持ちの方をスッキリさせます。使用上の注意をよくお読みになられ、効果を感じられましたら、ほかの方にも「ロバのポル語」の宣伝をよろしくお願いいたします。

①DesculpeかDesculpaか、どっちが正しいの?

②Desculpe a demora. か Desculpe pela demora. か、どんな時にporを付けるの?

③DesculpemとかDesculpem-meという形も見かけるけど、あれは何?

時間のない方向けに答えだけ。

①どっちも正しい。②いちおうどっちも正しい。③複数の人に謝る場合に複数形を使うことがある。

時間のある方は、以下の説明をお読みいただければ、今回のdesculpaの問題以外にも応用できる、ブラジル・ポルトガル語をめぐる考え方がかなりクリアになってくると思いますよ。

では行きましょう!

①DesculpeかDesculpaか、どっちが正しいの?

結論から言えば「どっちも正しい」のですが、混乱の原因はブラジルのおおらかさ(またの言い方をいい加減さ)から来ているんです。この際ですから、それぞれどっから来てるのかをはっきりさせておきましょう。

動詞「desculpar」の命令法の活用表を思い出すと・・・

 desculpar
 eu(一人称)    —–
 tu(二人称)  desculpa
 você(三人称)  desculpe
 nós  desculpemos
 vós  desculpai
 vocês  desculpem

こんなふうに動詞の活用が6つの形で変化するのはポルトガルのポルトガル語で、ブラジルでは一般に「tu」と「vós」をのぞいた4つの形で使われていますね。ここでは命令法ですから、自分に命令することはないということで「eu」のところは空欄ですけど。

問題は、ブラジルでは「você」のほうが断然ポピュラーなのですが、状況によって、あるいは地域によって「tu」に相当する形を使うことが少なくないということなのです。とくに主語としては「você」が圧倒的に優勢ですが、それでも主語に「tu」を使う人や地域もあります。

あるいは目的語として使う例ですけど、Eu te ligo mais tarde.(後で電話するよ)という言い方を聞きますよね。この「te」は「tu」と同じ本来の二人称です。同じことを三人称の「você」を使って言えば、Eu ligo para você mais tarde. となります。

こんな感じで、命令法においても、「tu」のときのdesculpaと「você」のときのdesculpeが混在してるということなんですね。だから文法的にはどちらも正しいのです!

私も昔そうでしたが、命令法の活用=接続法・現在の活用として覚えてしまっていると、desculpaが間違っているように見えてしまうというのもあります。

②Desculpe a demora. か Desculpe pela demora. か、どんな時にpelaを付けるの?

これまた結論から言うと、正しい表現は次の2つです。

① Desculpe a demora. (直訳:遅れを許してください。)

② Desculpe-me pela demora.(直訳:遅れに関して私を許してください。)

そもそもDesculpeもDesculpaも「許してください」とお願いする表現ですね。であれば、当然何を許してほしいのかを言わないといけないですよね。いきなり「ごめん!」とだけ言われて、黙っていられたら、何を謝られるのかすごく怖くなりませんか(笑)!

①の文は、遅れ(a demora)を許してくださいということで、難しくいえば「遅れ」が直接目的語になっているタイプ。この場合は前置詞なしで、名詞でも動詞の原形でも、どっちでもOKです。

Desculpe as brincadeiras.(直訳:冗談を許してください。)

Desculpe a bagunça no quarto.(直訳:部屋の散らかりを許してください。)

Desculpe retomar o mesmo assunto.(直訳:同じ話題をまた取り上げるのを許してください。)

Desculpe te interromper.(直訳:あなたを遮るのを許してください。)

②の文は、「desculpar-me por ナニナニ」という形で、「ナニナニについて私を許す」という構造になっています。もうお分かりだと思いますが、「por」を付けるのは、「~について、~のことを」という意味で、porの後には名詞も動詞の原形も両方来ることができます。こういう用法を代名動詞といいます。

Desculpe-me pelas brincadeiras.(直訳:冗談に関して私を許してください。)

Desculpe-me pelo atraso.(直訳:遅れについて私を許してください。)

Desculpe-me por perguntar a mesma coisa.(直訳:同じことを質問することについて私を許してください。)

Desculpe-me por ter ligado tão cedo.(直訳:こんなに早くに電話したことについて私を許してください。)

ただしブラジルのことですから、ハイ、人の部分も前置詞porも省略されることが少なくありません。つまりDesculpe pela demora. という言い方も普通にされますし、さらにporまで省略されれば、Desculpe a demora. となって、結局は直接目的語の場合と同じ見かけになっちゃいますね。ここにも混乱の原因があります。

③DesculpemとかDesculpem-meという形も見かけるけど、あれは何?

上の活用表を見ても分かるように、これは単純に謝りたい相手が複数だった場合に命令形の複数形を使っているだけです。

なので上に見た通り、次の2つとも正解です。

Desculpem a demora. (直訳:遅れを許してください。)

Desculpem-me pela demora.(直訳:遅れに関して私を許してください。)

要するに、一人の相手に言う場合はdesculpe、複数の相手に言う場合はdesculpemとなります。

 

いかがでしたか?いつもは「できる限り簡単に」を心がけていますので、たまには「できる限り詳しく」で行ってみました。

文法的な用語を見るだけでワーッとなってしまう方には少し大変だったかもしれませんが、少しずつ慣れていけるといいですね。やっぱり、きちんと納得して覚えられた知識は、その後の積み重ねやすさが違います。

私も偉そうに解説していますが、こういう知識が全部頭の中にあるわけではなく、ブラジルの文法サイトで調べたり、ブラジル人の友人に教えてもらったりしながら、ようやくまとめられています。実際にはここに書いている2倍も3倍も学んだことがありますので、皆さんに伝える形をとりながら一番勉強になっているのは私自身だと思います。

文法といっても、要はすでに決まっているルールを覚えて使うというだけです。しかも世の中の法律と違って、違反して罰金を取られることもないですし。気軽に構えて、一緒に少しずつ良くなっていきましょう!

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